内視鏡手術支援ロボット
「da Vinci(ダヴィンチ)」について

About da Vinci Surgical System

私たちは優しい医療を目指します

当グループは、4つの病院にて2024年4月に手術支援ロボット ダヴィンチを導入・機種の更新をいたしました。
手術に関する医療機器は進化を遂げ、今や医療用ロボットが活躍する時代となっています。当院でも2024年4月より最新鋭の手術支援ロボット「da Vinch Xi」を導入し、さらなる高度手術を行っていきます。
ダヴィンチは、4本のアームを用い、遠隔操作での手術を可能にした医療用ロボットです。医師が患者さまとは離れた場所で、精細な3次元画像を見ながらロボットアームを操作して手術を行います。
これまでの開腹手術や腹腔鏡手術とは異なり、手ブレのない、より安全で細やかな手術手技を可能します。ロボットアームの多関節機能により、様々な角度からの視野の確保と細密な動きで、複雑な手術が可能です。これにより手術時間の短縮や術後の身体機能の温存、がん根治性の向上などが期待できます。

手術支援ロボット ダヴィンチとは

ペイシェントカート本体

3本のアームが術者の手の動きを忠実に再現する

ペイシェントカート

ペイシェントカートから伸びるアームが直接患者さまの体内に挿入され、手術が行われます。
また、ペイシェントカートは4本のアームから構成され、1本には精細な高画質の3次元カメラを接続、残りの3本のアームには、医師が操作するロボット専用鉗子を接続します。人の手首以上の可動域をもち、ロボットアームが術者の手の動きを忠実に再現します。アームはコンピューターによる手ブレ補正機能が搭載されており、安全性の高い正確な手術が期待できます。

  • ペイシェントカートアーム部

  • ペイシェントカートアーム部

  • 縫合動画

  • ピーリング動画

あらゆる機能を司る中枢機能

ビジョンカート

ダヴィンチのあらゆる機能を司る中枢機器です。ペイシェントカートから送られてくる手術中の画質を最適にする処理を行います。上部に搭載されているモニターには、手術中の画像が映し出され、術者以外の医師・看護師も術中の様子をリアルタイムで把握できます。タッチスクリーン上に指で線などを描いて、術者に視覚的な情報を伝えることもできます。また、高性能電気メスを搭載しており、出血量減少に役立っています。

安定した自然な動きで手術可能

サージョンコンソール

術者が座る操縦席です。ビューポートをのぞきこみ、3Dモニターを見ながら、両手足を使って手術を行います。飛行機のコックピットのようなイメージで、鉗子操作、カメラ操作、モニター画面の切り替えなど、全ての操作を行うことが可能です。また、コントローラーを動かすと、即座に忠実にペイシェントカートの鉗子が同じ動きをし、手術を行うことができます。関節機能付きの鉗子は、人の手よりも曲がり、回転し、安定した自然な動きで操作できます。

ダヴィンチの特長

鮮明に捉える直径8mmの3D内視鏡

カメラで捉えた映像は、カメラヘッドを通してビジョンカートにあるカメラコントロールユニット(CCU)に送られて収集・処理され、3D映像として医師の目に届けられます。自分の目で捉えているような感覚で視点を動かしながら、手術画像からの情報を得ることができます。

腹腔鏡よりも自由度の高い鉗子

主に3つの部分に分かれており、それぞれ人間の腕、手首、指先のような役割を担います。用途によってさまざまな形があり、組織をつまむ、切る、掻きだす、針を持って縫合するなど、術者のマスターコントローラの動きに連動して、指先のような細かい動きまで行うことができます。

ダヴィンチのメリットとデメリット

ダヴィンチのメリット

出血量を大幅に抑え、術後の疼痛を低減、機能温存の向上や合併症リスクの大幅な回避など、さまざまなメリットがあります。

  • 正確な患部の切除

    正確な患部の切除

    精密かつ正確な手術が可能なため、拡大視野で患部の切除が可能です。さらに術者の手ぶれも補正することができ、より安定した自然な動きで精緻な手術を行うことが可能です。

  • 術中の出血が少ない

    術中の出血が少ない

    ロボットによる精緻な操作により、開放手術と比較すると、極めて出血量が少ないです。術中に輸血が行われた例はほとんどありません。

  • 傷口が小さい

    傷口が小さい

    術式によって異なりますが、患者さまの皮膚を切開する傷口は、内視鏡や鉗子を挿入するため5~12mmの傷で済みます。

  • 術後の回復が早い

    術後の回復が早い

    傷口が小さく出血量も大幅に抑えられるため、術後の回復が早い傾向にあります。

  • 機能の温存が向上

    機能の温存が向上

    鉗子の正確で精密な動きによって、患部以外の正常な組織や神経を傷つけることが少なく、体の機能の温存効果を高めることが期待できます。

  • 術後合併症のリスクが低い

    術後合併症のリスクが低い

    鉗子の動きは柔軟で、精密で正確であることから、病変部に的確にアプローチできるため、合併症を抑えられることが期待できます。

ダヴィンチのデメリット

医師の経験値や資格認定など、安心してダヴィンチ手術を行うためには安定的な技術・品質の担保が必要となります。

  • 資格を取得した医師のみが執刀を認められる

    ダヴィンチ手術では手術器具を直接触ることがなく、器具の先端部分で触れるような触覚は得られません。そのため、一定以上の経験が必要となり、製造元の定めるトレーニングを終了し認定資格を取得した医師のみが執刀を認められます。

  • 併存疾患によっては手術を受けられない

    手術によっては頭を下げた状態で行うため、この姿勢が難しい脳動脈瘤や緑内障の患者さまや、以前に腹部手術を受けたことのある患者さまは、ダヴィンチ手術を受けることができない場合があります。詳細は医師にご相談ください。

従来の開腹手術・腹腔鏡手術

従来の腹腔鏡手術

5ミリ程度の穴を開け、炭酸ガスでお腹を膨らまし、専用の筒状のカメラ(腹腔鏡)と手術用具をお腹の中に入れて手術を行います。傷口が小さく、痛みが少ないため、術後の回復が早く、体の負担が少ないことがメリットとなります。デメリットは、術者が直接臓器に触れることができない点です。また、鉗子は直線的にしか動かせず、ロボットほど精密な動きな困難です。癒着が強い、出血が制御できない場合、癌が周囲に広がっている場合は開腹手術に移行することがあります。

従来の開腹手術

開腹手術は、お腹をメスで大きく切開して行う手術です。メリットは、手術中に大きな出血があった場合に直接止血できることや、浸潤の範囲がわかりにくい癌などで直接病変部を手で触り確認できることです。逆に、デメリットとしては、ある程度の大きさの傷ができるため、身体の負担になることや、術後の痛みなどがあげられます。また、 開腹する際、腸管が空気に触れることによって治癒過程で癒着を起こし、腸閉塞などの合併症が発症する可能性もあります。

ロボット手術・腹腔鏡手術・開腹手術の比較

ダヴィンチ手術や腹腔鏡手術は低侵襲であること、開腹手術は直接臓器を触れて手術できることが大きな特長となります。手術直後は開腹手術に比べ、ダヴィンチ手術や腹腔鏡手術の方が体の負担が少ない分、回復が早い点で優位性があります。病状や手術の内容によって、最適な手術は異なりますので、主治医とよく相談することが大切です。

ロボット手術 腹腔鏡手術 開腹手術
傷口 8~12mmの穴が数か所 2~12mmの穴が数か所 大きな傷
痛み 軽い 軽い 痛い
手術時間 長い やや長い やや短い
体への負担 小さい 小さい 大きい
術後の癒着 少ない 少ない やや多い
入院期間 短い 短い 長い
退院後の復帰 早い 早い 遅い
がんの摘出率 中程度~高い 中程度 低い~中程度
出血 とても少ない~少ない 少ない~中程度 多い

← 左右に動かすことができます →

内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」は下記病院にて導入しています