このたび、筆頭著者 リハビリテーション科・理学療法士の片山尚哉の論文学会誌journal of physical therapy scienceへ2021年度に投稿した研究に対し、理学療法科学学会から奨励賞を頂戴しました。
本研究内容は、変形性膝関節症の保存療法に対して頻繁に行われるパテラセッティングが疼痛の一因とされる膝蓋下脂肪体の血流にどのような影響を及ぼすのかを調査したものです。
結果は、パテラセッティング自体が一過性に膝蓋下脂肪体の硬度を高め、運動課題中は虚血状態となり、その後充血反応を示しました。
本研究での新たな知見は、パテラセッティングのような低負荷の運動でも膝関節内に存在する疎性結合組織の硬度や血流が変化し、酸素化するという点です。従来から筋力増強が徐痛に有効と考えられてきましたが、パテラセッティング自体が一般的な筋肥大による筋力向上の根拠として乏しく、別の徐痛メカニズムの関与が考えられます。
本研究の限界としては、対象者が若年健常者であるため、変形性膝関節症患者での反応をさらに検討する必要があります。
本研究内容はpubmed(フリーアクセス)で見ることができますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。
Katayama N, Noda I, Fukumoto Y, Kawanishi K, Kudo S.: Effects of isometric contraction of the quadriceps on the hardness and blood flow in the infrapatellar fat pad. J Phys Ther Sci, 2021, 33: 722–727.