前立腺肥大症の最新治療

光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

ー 健康保険で治療が受けられるようになりました ー
前立腺肥大症とは

中高年の男性に見られる良性の疾患で、前立腺という組織が加齢と共に徐々に肥大していくものです。肥大によって尿道が圧迫されるため、尿の排出障害の原因となり、尿の出方が悪い、頻繁にトイレに行きたくなる、排尿後もすっきりしない、尿がたまっているのに全く出ないなどの様々な症状が出ます。
はじめは薬で症状が改善しますが、十分に改善しない場合や薬の長期服用を避けたい場合、また症な場合は肥大した部分を切除する手術が行われます。

患者さまに優しい前立腺肥大症の手術とは

従来から低侵襲手術として、水(潅流液)で視野を確保しながら尿道から内視鏡下に前立腺を高周波メスで切除する手術(TUR-P)が広く行われてきました。この手術は高い治療効果があるものの、手術中の出血量が比較的多いこと、術後に尿道カテーテルを留置する期間が長いこと、また潅流液の吸収により水中毒(低ナトリウム血症)を起こすリスクがあるなどの課題がありました。また、出血しやすい手術という特性から、脳血管や循環器の疾患で抗凝固薬を服用している高齢者には手術を行うことが難しいとされてきました。
最新の治療法である光選択的前立線レーザー蒸散術(PVP)は、これらの課題に対応しているため、より患者さんに優しい手術と言えるでしょう。PVPは既に欧米を中心に70万人の治療実績があり、我が国でも平成23年に保険適用となり普及し始めています。

光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)とは

PVPに使用する緑色レーザー光には、水にはほとんど吸収されない一方、血液中の酸化ヘモグロビンに選択的に吸収され、強い熱エネルギーを生じさせる特性があります。
水(潅流液)で視野を確保しながら、内視鏡を使って血流の豊富な前立腺組織にこのレーザー光を照射すると、組織は瞬時に加熱・気化(蒸散といいます)され、同時に、蒸散部の表面に1~2mm程度の薄い凝固層ができます。PVPでは、緑色レーザー光による肥大組織の強力な蒸散効果と確実な止血凝固効果が発揮されるため、前立腺肥大症による下部尿路閉塞が効率的かつ安全に解除されます。

よくあるご質問

1.PVPの利点はなんですか?

従来の一般的な手術法(TUR-P)に比べ、出血や術後の痛みが少なく、体への負担が軽いこと、手術翌日には留置カテーテルが抜去でき、入院期間も短く、早期に日常生活に復帰できる利点があります。また、従来なかなか手術が受けられなかった、脳血管や循環器疾患などで抗凝固剤服用中の方も、手術を受けることが可能になります。

2.では、PVPには難点はないのですか?

PVPでは前立腺組織を蒸散させるため、組織が採取できないことが難点と言われています。前立腺肥大症は良性疾患ですが、まれに悪性の前立腺がん細胞が発見されることがあります。しかし、PVPの前にPSA(腫瘍マーカー)値を調べ、前立腺がんが疑われる方には別に組織を採取(前立腺針生検)したり、PVPの後も定期的にPSA値を確認するなど、経過を観察して対応しますので、実質的には難点になっていません。

3.PVPの入院期間はどれくらいですか?

手術の前日入院で、多くの方は通常3泊または4泊で退院可能です。
(なお、従来のTUR-Pでは、入院期間は10日前後とされています。)

4.PVPの費用はいくらかかるのですか?

保険診療になりますので、3割負担の方で12万円程度になります。詳しくは病院事務までお問い合わせ下さい。

5.何日で仕事に復帰できますか?

PVP手術自体は、運動機能や身体活動に大きな影響を及ぼすものではないので、軽作業程度であれば退院翌日から可能です。ただし、いきみを伴う動作はしばらく控える必要があります。詳しくは主治医までお尋ね下さい。

6.性機能には影響はありますか?

勃起機能・射精機能への影響については他の手術法に比べると少ないという報告がありますが、100%影響がないといえるものではありません。
なお、射精機能への影響としては射精液が膀胱側に流れる逆行性射精があります。どのタイプの前立腺肥大症の手術でも、膀胱側の閉塞を解除することによりつきまとうリスクですが、健康に害があるという性質のものではありません。詳しくは主治医までご相談下さい。

7.前立腺がんの治療に使えますか?

PVPは基本的に前立腺がんの治療には使えません。詳しくは主治医までご相談下さい。

8.PVP治療を受けたいのですが、どうすればよいですか?

現在、診療を受けておられる主治医から当院へご紹介いただくことをお勧めします。
なお、当院を受診される際は、お待たせしないためにも、事前に電話でご予約下さい。

ご予約は、
大阪暁明館病院 医療連携課 ☎06-6462-0261
まで。

⇒ PVPレーザー治療のご案内パンフレット

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