リハビリテーション科
所属長ご挨拶
リハビリテーション科 課長 稲本弥佐(作業療法士)
私たちリハビリテーション科理念は「患者様の日常生活活動の自立と向上を支援するため、専門的リハビリテーション医療を実践する」と「院内リハと在宅部門のリハの連携を図り、安心した在宅生活を送れる支援をする」です。
みなさまが「地域であなたらしい生活」を送るために私たちのできること
➀専門性の高いリハビリテーション医療の提供
➁退院後の生活へ途切れない在宅リハのサポート
フレイルなど介護状態にならない予防リハ途切れのないリハビリテーションの提供です。
私が課長代行に就任させていただいた2020年4月はコロナによる感染管理の中でのリハビリテーションであり、社会においても入院生活においても制限のある生活でした。その不自由な生活の中で、より早期の回復、在宅で機能低下をおこさない在宅リハ・予防リハの必要性を痛感いたしました。
その経験から、現在当院はロボットリハや超音波画像を用いた最先端リハやボツリヌス療法・心臓リハビリテーション等専門性の高いリハビリテーションの提供、訪問リハビリの拡充や自立支援型通所リハ(大阪マスターズ倶楽部)の開設、さらに、地域の方への予防教室と日々躍進しております。
また、新病院に移転して10年、リハビリテーション科スタッフは当初の約2倍の80名を超え、スタッフ教育体制の見直しも行い、2023年度はラダー教育導入を図り、今後もさらなるセラピストの技術向上に努めてまいります。
大阪暁明館病院のリハビリテーションは「地域であなたらしい生活」のために途切れのないリハビリテーションを提供すべく、スタッフ一同邁進してまいります。
理念と特色
リハビリテーション科 理念
「患者さまの日常生活動作の自立と向上を支援するため専門的リハビリテーション医療を実践する」「院内リハと在宅部間のリハの連携を図り、安心した在宅生活を送れるよう支援する」
特色
急性期より集中的・積極的なリハビリテーション医療を提供し、病状が安定した回復期・地域包括・生活期・維持期では、家庭復帰や日常生活動作の自立、生活の質の向上を目標に実施しています。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が個々のリハビリテーションの治療技術向上とともに、ロボット機器、電気治療機器や超音波をリハビリテーションに取り入れ、早期回復に努めています。
また住み慣れた地域・在宅での生活を支援するため、退院前より自宅を訪問し、動作方法や介助方法の指導、手すりや段差解消等の住宅改修や福祉用具のアドバイス等も行い、退院後も訪問リハや通所リハビリでのリハビリテーション継続を行っております。
患者さま・利用者さまおひとりおひとりの生活にあわせたリハビリテーションを行うため、人と人とのつながりを大切にしております。
リハビリテーション科体制
●施設基準
・運動器リハビリテーションⅠ
・呼吸器リハビリテーションⅠ
・脳血管疾患等リハビリテーションⅠ
・がんリハビリテーションⅠ
・心大血管リハビリテーションⅠ
・回復期リハビリテーション病棟
・地域包括ケア病棟
●人員構成
・理学療法士 54名
・作業療法士 13名
・言語聴覚士 6名 (2024年6月現在、病院スタッフ人数)
●理学療法
病気やケガ・手術などによって低下した運動機能の回復に対し、関節の動く範囲を拡げる、筋力を強くする、バランスや体力を改善する等の運動療法や座る、立つ、歩く等日常生活動作の基本となる動作能力の回復を図ります。温熱や電気刺激療法や装具を用いた装具療法などを組み合わせて治療を行います。また超音波診断装置(エコー)や免荷式歩行リフト・ウェルウォークを使用した最先端のロボット医療技術などを使用し質の高い理学療法を提供しています。
●作業療法
病期やケガ、手術等による心身機能、生活全般における障がいに対し、その人らしい生活への復帰に向け、日常生活動作(食事を食べる、お風呂に入る、トイレに行く、身だしなみを整えるなど)の獲得や日常生活に関連した動作(掃除や洗濯をする、料理をするなど)などの生活活動の練習を行います。そのために必要な上肢機能を中心とした運動能力の改善や注意・記憶や行為面の高次機能や認知機能へのリハビリテーションを合わせて行います。脳卒中や脊髄疾患を中心に電気刺激療法を併用した機能回復を取り入れています。
また、退院後の生活に際し、実際に自宅を訪問し、環境調節を行い、退院後の生活へのサポートを行っています。
●言語聴覚療法
脳卒中や事故により、構音障害(ろれつが回りにくい)、失語症(言葉が出にくい)などにより上手く話す事ができない、記憶力の低下や注意集中が続かないなどの高次脳機能障害(思考・記憶・行為・言語・注意などの障害)を発症され普段の生活が難しくなる場合があります。そのような症状がある方へのコミュニケーションが行えるようにリハビリテーションを行っています。また、「ご飯を食べると咳が出る」「上手く飲み込めない」など嚥下機能が低下している方への飲み込みの評価・訓練を行い、適切な食事形態の選定や誤嚥性肺炎の予防などに努めています。必要に応じて嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)なども実施しています。
リハビリの取り組み
ロボット機器
●ウェルウォーク WW2000
TOYOTA自動車株式会社が開発した、歩行を支援する最先端 のリハビリテーションロボット機器。下半身麻痺などによって ご自身での移動が難しい方に「自分で歩く喜び」をサポートします。
【ウェルウォークWW2000の機能】
1,ロボット脚による動作アシスト
麻痺した脚にロボット脚を装着することで、脚を振り出しアシストや膝折れ防止のサポートをします。装着は簡単で短時間で練習を開始できます。
2,個々のレベルに合わせた難易度設定
麻痺の程度・回復段階に合わせて歩行練習ができます。 体重を免荷する支持具があるため、重症の患者様もご利用いただけます。安全ハーネスがあり、転倒予防も行え、安全に利用できます。
3,大画面でタイムリーに歩行状態の確認が可能。ゲームで楽しくリハビリを!
3Dセンサー・多方向カメラの映像から、自身の歩行状態を大画面で確認しながら歩行練習が行え、良姿勢で、効率の良い歩行の獲得できます。
また、歩行姿勢や歩数を利用したゲーム機能は、つい熱中し、楽しく歩行練習が行えます。
【ウェルウォークWW2000の対象】
・片側の下肢運動障害がある方
・片麻痺による歩行障害がある方
・長下肢装具が必要な重度の片麻痺がある方
・トレッドミルでの歩行練習を行う方
・下肢に免荷制限がある方
・麻痺の程度は軽度だが歩行の姿勢や歩行効率を改善したい方
軽度から重度の下肢運動障害に対応できます。
●フィジボゲイト GH-3500
歩行アシストは「倒立振子モデル」に基づく効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器です。
患者さまの腰部から大腿部に装着し、左右の股関節のモーターに内蔵された角度センサーが患者さま自身の歩き方を感知し、足の振り出しや蹴り出しを患者さまの歩行パターンに合わせて補助することで快適な歩行を実現する装着型装置です。
その場で歩幅や速さを確認することや、どのくらい改善したか測定した結果を比較することができます。
脳疾患、整形外科疾患などで、歩行は自立しているが、少しの介助や見守りが必要な患者さまが適応です。歩くと疲れやすい、筋力が少し低下しているなどの患者様に使用し、転倒しにくく効率的な歩行の獲得に役立てています。
●免荷式歩行リフトPOPO
免荷式歩行リフトPOPOは左右独立懸架のサスペンションで身体を釣り上げ、下肢にかかる体重を分散させる事で快適な免荷歩行を実現できると同時に、膝折れ時などの転倒リスク軽減も行える歩行補助具です。この歩行補助具を使用し歩行練習のみではなく、座位からの起立や立位から着座までといった一連の基本動作練習をPT(理学療法士)と共に行う事が出来ます。患者様にも疲労や股関節や膝などの負担を軽減し、過度な負担なく、歩行練習が行えます。
電気刺激機器
●L300(歩行神経筋電気刺激装置)
L300Goは脳血管障害・脊髄損傷(不全麻痺)のような運動上位ニューロンの障害によって、足部の尖足(せんそく)や膝の支持性が不安定になった方に対し、歩行能力の向上目的の行う機能的電気刺激装置(FES)システムです。
歩行周期に合わせ、足関節の運動への電気刺激を与え、筋活動をサポートしながら歩行訓練を行うことができます。訓練モードと歩行モードがあり、歩行機能の改善や廃用性萎縮の防止、局所血流量の増加、筋再教育、関節可動域の維持または向上が期待されます。
【対象】脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、多発性硬化症などの中枢神経障害による下肢の運動麻痺
【期待できる効果】
・歩行の改善(足部のつまづき、振り出しの改善、歩行スピード・歩容の改善)
・筋の再教育を促進し、廃用性萎縮を予防または遅滞させる
・関節の可動域を維持または拡大する
・局部の血行を促進する
●IVES+(随意刺激介助電気刺激装置)
脳血管障害や末梢神経麻痺により弱まった筋に電気刺激を与えるリハビリ機器です。IVES(アイビス)は随意運動の筋電に応じた電気刺激を与える随意刺激介助電気刺激装置です。IVESは自動反復刺激のみでなく、微弱な筋活動を受け、電気刺激により随意運動をアシストしたり、非麻痺側の筋活動を感知し、麻痺側に電気刺激を行う事で、運動を誘発することができます。
ボツリヌス療法
●ボツリヌス療法
ボツリヌス療法とは脳卒中後の痙縮(けいしゅく)治療の一つであり、脳卒中治療ガイドライン2023年で治療を強く推奨するグレードAと報告されています.ボツリヌス菌が作りだす天然のたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉に注射することで過剰な緊張状態となっている筋の痙縮を改善させます.この“痙縮 “は、脳卒中後遺症の一つであり、麻痺側の手足に勝手に力が入り、突っ張ってしまうことで日常生活に支障をきたすことで知られています。
よく日常生活に及ぼす影響で訴えとして多いのが、
「手が握ったままで、爪が手のひらに食い込んで痛い.爪が切りにくい.洗いにくい」
「肘が曲がったままで、衣服が着にくい」
「歩行時に足部が内返しになり、転倒しそう」
「歩行時、膝が固く曲がらず、振り出しが重い」などがあります。
当院ではこのような症状を事前に問診して治療に取り組みます。当院ではボツリヌス療法の実施において、理学療法士・作業療法士が現在の筋肉の状態や日常生活の状況を評価し、医師による注射を行います.注射後にはより効果を高めるために施注筋に対してストレッチングを行い、可動域を改善させていきます。ご自身で行えるストレッチングの方法もお伝えしますので、お気軽にご相談ください。
ご希望の方は、脳神経外科(金曜日午前診:田淵医師)受診、もしくはリハビリテーション科にご相談ください。
超音波(エコー)を用いた運動療法
●超音波診断装置(エコー)
超音波診断装置(以下エコー)は対象となる筋組織や軟部組織、神経・血流状態をリアルタイムでエコー画面に写し出す事が出来る装置です。この性能を活かす事で、より正確な触診等が可能となり、実際に患者様が訴えている関節や筋肉などの痛みの原因を把握できます。当院のリハビリテーションではエコーを取り入れることで、早い回復に繋がるように積極的に勧めています。
心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)
●心臓リハビリとは
心不全・心筋梗塞・狭心症などにより、心臓の働きの低下や治療等のための安静により運動能力や身体の循環能力の低下をきたし、退院後の生活も強い強度の活動ができません。どの程度の動いてもいいのかもわかりにくく、不安や過負荷になってしまいます。
心臓リハビリでは適切な運動を行い、機能の回復とともに、日常生活における運動量、活動量をご自身で理解し、心臓に過負荷にならず安心し、活動的な生活できるように助言を行います。また、活動や運動のみでなく、栄養管理や自覚症状等も自己管理し、健康な生活を維持できるように、管理ノートの利用などのサポートも行っています。 心臓リハビリは退院後のおひとりおひとりの生活に合わせ行うことで、生活の質(QOL)の向上につながります。
●心肺機能負荷試験(cardiopulmonary exercise test:CPX)とは
CPXとはトレッドミルやエルゴメーターなどの運動負荷装置を用いて運動負荷試験を行い、心電図および連続呼気ガス分析装置による呼気中の酸素濃度・二酸化炭素濃度・換気量をリアルタイムに測定し、最高酸素摂取量・嫌気性代謝値(AT)などの呼吸・循環・代謝諸指数を測定する検査です。この検査により、労作時息切れや動悸などの鑑別診断や心大血管リハビリを行うにあたり、運動負荷の設定をCPXの結果により設定し、運動による心臓への負担が過負荷とならないように適切な負荷量で運動することができます。 心大血管リハビリの運動療法による運動耐容能の増加、労作時呼吸困難や疲労感などの心不全症状や狭心性発作の軽減、生活の質(Q0L)の改善の効果が期待できます。
退院後のリハビリテーション
当院では退院後サービス利用として患者さまに合わせた法人リハビリテーションをお勧めさせて頂いております
●訪問リハビリテーション
ご自宅を訪問し、日常生活に直結した動作練習や自宅環境に合わせたリハビリを提供しています。また患者さまの状態に合わせた住宅内環境設定の検討も行い、ケアマネジャ連携のもと、住宅改修・福祉用具の導入を行います。住宅改修や歩行器などの福祉用具の導入後も実際に練習することでより安全な動作に結びつきます。
「退院後、家で動けるか不安…」「退院後もしっかりとリハビリを継続したい…」「トイレやお風呂に介護が必要になった…」「家事をするのが難しくなってきた」などの生活の中での「したい」、「できない」を生活の場でのリハビリテーションを行います。
理学療法士・作業療法士が訪問に伺います。※言語聴覚士は暁明館訪問看護ステーションより訪問に伺います。
ご希望の方は3階リハビリテーション室もしくはリハビリ担当者にご相談ください。
訪問リハビリのご案内
●大阪暁明館病院インスタグラムはこちら
●大阪マスターズ倶楽部についてはこちら
●介護老人保険施設 あかつきについてはこちら
●暁明館通所介護センター(酉島デイサービス)についてはこちら
リハビリテーション科教育体制
大阪暁明館病院インスタグラム:リハビリテーション科での活動を発信しています。
ロボット機器
●大阪暁明館病院リハビリテーション科のインスタグラムはこちら
●教育体制
リハビリテーション科教育理念
医療・介護・社会情勢の変化や医療の進歩とともに専門職としての知識・技術を磨き、チーム医療の中で専門性を発揮できる人材を育成する。
リハビリテーション科教育目標
1,人として信頼されるセラピストを育てる
2,他職種とチームの一員として、患者様、利用者様、ご家族様の豊かな生活を支援できるセラピストを育てる
3,専門職としての常に知識・技術を高め、成果を検証することができるセラピストを育てる
4,日々の業務に主体性を持ち、課題を見出し、解決できる計画・実行することのできるセラピストを育てる
5,院内のみならず、地域における病院の使命と役割を理解し、広い視野で医療・介護・予防サービスの質の向上・地域の貢献できるセラピストを育てる
●ラダー教育
経験年数に応じたレベル目標や教育プログラムを導入しています。
リハビリテーション科ラダー教育レベル別目標は下記をご覧ください。
職員の声
リハビリテーション科のスタッフにインタビュー
●入職の決め手は?
●職場の雰囲気は?
●新人教育・勉強会について教えてください。
●今、取り組んでいることはありますか?
●当院の訪問リハ・デイケアで働いてみて